"ぐんじょうのびろうど"とは-サムライトループスの単館上映集-。都会の夜空をどこか「奇麗だ」と思ってしまった時に思いついたことばである。スモッグと街灯りで星一つないぬめっとしたグラデーションが映画館の銀幕を護るびろうどのようだったのだ。ため息の着きたくなる日常の中にも、キラリと光る出来事が内側に潜んでいるのだなあと思うと帰路へと向かう、重たく固い足取りもすこし軽く柔らかくなった。"ぐんじょうのびろうど"は小規模で等身大なことばのおんがくを編み続けるサムライトループスの単館上映集である。

トラックをタカツキとDJTKYMが手がけ、丸く柔らかい印象の楽曲群はサムライトループスの独自色。ウッドベースやエレピ、ホーンが使われジャズやソウルへの憧憬が惜しみなく落とし込まれている。MC陣も成熟期を迎え（おっさんになった）、おさえた声のトーンから大合唱で相変わらずのパーティーチューンまで、内容やテーマも都会の夜や古風な猫の集会、菓子やぐうたらな日常生活など、多岐にわたりながら”遅れた成長っぷり”を見せる。特筆はゾムの歌声、２人のトラックと相性の良い柔らかくクリアな歌声は前作からさらに磨きがかかり表題曲「ぐんじょうのびろうど」や「黒い雨雲と赤提灯」「もうすこし」のサビなどで重要な役目を果たしている。また久しぶりにY.O.G.とメテオを加えたオリジナルメンバー6名によるマイクリレーを「スヌーズ・デイズ」で楽しむことができる。


01. Rap 4 tha cats
02. Rolling stone
03. Yokkoi Shouichi
04. Lebasashi 1200
05. Gunjo velbet
06. Joke on Earth
07. Takatsuki solo
08. Zoe solo
09. Snooze days
10. Tsuitekuruka?
11. Hail and done
12. Tsuburaya
13. Mellow Confesser
14. Rohan Kishibe
15. Mousukoshi
16. Rap SMRY


PROFILE :
タカツキ/ゾエ/ゾム/セミーの4MCとDJのTKYMからなるヒップホップグループ。インディー盤「ことばのおんがく」(2004)が話題になり「BEATNIKS」(2006)でメジャーデビュー、独特の音楽性と等身大で飾りのないラップで評判を集め、各紙のベストアルバムやベストアーティストに選出、各地のフェスやライブ会場に出没。配信時代のパッケージのあり方としてシングル/アルバムの収録単位にこだわらない「クラフト」シリーズを提案。2011年に「オレンジボヤジャーズ」「パープル・ギガント」をリリース。メジャー/ストリート、ジャンルをまたぐ彼らの自由な音楽を愛する人は世代を超えて多岐に渡る。


■ 2013年1月23日発売

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