
Q : ソロ・アルバムのリリース、おめでとうございます!まずはWE NODインタビュー初登場ということで、自己紹介をお願いします。 1999年からハワイを拠点にラップ音楽を発信しているmeisoと申します。ハワイのヒップホップクルー Direct Descendants のメンバーであり、MC兼何でも屋のNoob SaibotとビートメーカーMuzonoと共に『Lionz of Zion』というクルーでも活動しています。 Q : Meisoさんがラップを始めたのはいつ頃ですか?きっかけは何だったのでしょう? 中学時代に学校のイベントで、ラップ好きの友人数人と日本語ラップのカバー数曲を披露する事になった所、そのライブがもの凄く楽しくて、それをきっかけにオリジナルのリリックを書くようになりました。その前から詩は書いていたので、最初ライムという技法が新鮮で仕方なかったのを覚えています。 Q : 資料を見ますと、高校1年生の時にハワイに移られたようですが、当時のハワイのヒップホップシーンはどんな感じでしたか? 当時のハワイでは、Light Sleepers というクルーのKavet the Catalystのラジオ番組がシーンの中心でした。地元のラッパー達はその番組内で毎週開かれる電話参加型フリースタイルセッションに参加し、スキルを競い合っていました。 また、ハワイの伝説的天才MC、Kilowatts the mongooseが所属していたバンド、Quadro Phonixや、Direct DescendentsのSeph OneがMCをつとめていたバンド、Microscopic Syllablesなどのライブにヒップホップ好きのキッズがあつまり、オープンマイク、駐車場、店の外などいたる所でサイファーが開かれてました。とにかく色んなスタイルのMCが熱く、フリースタイルのレベルを上げる事に力を注いでいました。 Q : その後、現地のMCやシーンにだいぶ揉まれたと思いますが、特に影響を受けたアーティストなどはいますか? ローカルのMC達には強く影響を受けました。Direct DescendantsのKelvin Zero, Seph One, Staple MouthやKilowatts the Mongooseのデリバリーやリリックにやられては、必死で技を盗み自分のスタイルに組み込んでいきました。 Q : ハワイでは、フリースタイラーが多数在籍するダイレクト・ディセンデンツの一員ということですが、彼らについて教えてもらえますか? Direct Descendantsは正当派バトルMC、アブストラクト、スピリチュアル、ジャジー、ハードコア、超高速ラップ、ハワイローカル系など実に様々なスタイルのMCやビートメーカー、B-BOY、グラフライターが在籍しています。その幅の広さから、お互いに刺激し合ってさらに面白いスタイルが生まれてきたのだと思います。今では皆それぞれの道に進んでしまっていますが、当時はオープンマイクやサイファーでは他を寄せ付けないクオリティと勢いを持っていました。現在多くのDirect DescendantsメンバーはSIQ RECORDSからリリースしています。CDリリースをしている主なメンバーはCreed Chameleon, Hungar Pains(Seph one、Risup)、Staple Mouth, Jonah The Whaleなどです。 Q : 今までたくさん質問されてきたとは思いますが、今一度聞かせてもらいます。MCバトルで優勝した2003年のB-Boy Park、今は当時をどう振り返りますか? 当時はハワイで毎日フリースタイル/サイファーをしていて、日本語を分かるお客さんと、日本語のMC(相手)に飢えていました。バトルではその両方が一度に手に入ったようで、楽しくて仕方なかったのを覚えています。ナチュラルハイでしたね。”面白すぎる?って”思ってるうちに気づいたら決勝まで来てました。 Q : ハワイのインディ・レーベル SIQレコードからリリースされたソロプロジェクト "自転者EP" について教えてもらえますか? 自転者EPはゲストMC無しのセルフプロデュ?ス曲をまとめた、かなりパーソナルな楽曲集です。ファーストソロアルバムを発表するまでの間、"まだ自分はヒップホップをやってますよ" と世界にアピールしたくてリリースしました。一時は自分でCDやケースをDIYで作ったり、発送もしていました。 Q : 今回のフル・アルバムがメリー・ジョイさんからリリースされるに至った経緯を教えてもらえますか? コラボ曲の製作中、Shing02さんに日本でのリリースについて相談を持ちかけた所、メリージョイに話をしてみてはどうか、とアドバイスをいただき、さらに紹介までしてもらいました。もともと大好きなレーベルだったので、即決でデモを送らせていただきました。 Q : このアルバムのテーマやコンセプトはありますか? アルバムを通してではなく、一曲単位で別のテーマ・コンセプトを扱っています。 Q : 英語には無い日本語の良さを追求したスタイル、とありますが、このアルバムの中でそれをどのように表しましたか? 日本語には漢字、ひらがな、カタカナがあります。この三つを使い分け、組み合わせを意識するだけで、英語では出来ない言葉遊びが可能になります。タイトルを見ていただいても『ソラニシラレヌ』が『空に知られぬ』だったら受ける印象が大分違うと思います。四字熟語などの間にカタカナを差し込みコントラストを出す、ひらがなを並べて柔らかくするなど、日本語ならではの工夫の仕方に注目して作成しました。 Q : アルバムのタイトルが "夜の盗賊"、Shing02さんを迎えた "夜道"、Meisoさんにとっての夜とは? 自分にとって、夜は想像力が遊ぶスペースを許される時です。暗くなって輪郭がぼやけ、大部分が見えなくなると、その見えない部分を想像力が埋めだします。聴力も同じで静けさの中に聞こえる小さな音に想像力が刺激されます。夜に見る幻が作品を作るためのインスピレーションになっていると同時に、夜はMCにとって晴れ舞台、発表の場でもあります。『夜の盗賊』にはそんな発表の場とインスピレーションを盗む/手に入れる、夜というフィールドで仕事をするという意味も自分にはあります。 Q : 冒頭の "キコエルカ?"の中で伝えているメッセージは、リスナーを一気にこのアルバムに引き込むのに充分ですが、1つだけあげるとしたら、1番伝えたいメッセージとは何でしょう? 英語にはhearとlistenと“聞く/聴く”という行為に二種類あります。hearはただ耳に音が入っているだけですが、listenはその対象に意識を集中して考えながら聴きます。周り、メディア、評論家などの意見を受け身に聞くだけでなく、ゼロのまっさらな状態から物事を見聞きすれば、振り回されない自分なりの解釈を見つけられるのではないでしょうか、と言ったメッセージです。 Q : Meisoさんのラップの中での言葉使い、韻の踏み方が話題になっています。どこからアイデアは出てきますか? フリースタイル中に勢いで生まれた組み合わせ、読んだ本、映画、会話、他のアーチストのリリック、気になる出来事などの要素を組み合わせて頭に入れておき、ふとした時にフレーズが湧いてきます。 Q : 今作のプロデューサー陣について教えてもらえますか? EDKDさんは広島在住のビートメーカーさんでネットを通じて知り合いました。ION MYKEはdirect descendantsの一員で、B-boy park2003のサントラに収録されていた”悟”という曲も彼のプロデュース、El topoのファーストアルバムにも彼のビート曲で参加しました。Muzonoは東京に住んでいた頃からの幼なじみで、ハワイに引っ越してからビートメークを始めたんですが、今はLionz of Zionとして相棒MC、Noob Saibotと三人のユニットでも活動しています。 Akiは以前から仲良くしているEL TOPO/Immigrate Usのビートメーカーで、ハワイにも遊びに来てくれたのですが、向こうでも彼のぶっといビートは人気でした。Sapienceはハワイ島のクルーBrainStormingWeather/New Cocoon代表でSIQレコードつながりです。DJ KUNIMUNEは東京時代からの仲間です。Vector Omegaは説明不要ですね。 Q : アルバム中にゲスト参加しているHisomi-TNPさん、Shing02さんの参加経緯を教えてもらえますか? また、Meisoさんから見たお2人とは? Hisomi-TNPさんは2006年に発表した "無知の知6mc's revamp" で共演した時に初めて彼のラップを聴いたのですが、超絶的な滑舌とスピードとそのボキャブラリー/リリックに衝撃をうけました。日本とハワイと離れていたため最近までお会いする機会は無かったのですが、ネットを通して連絡を取り、意気投合して曲を作成するに至りました。現在も新たなコラボ曲を製作中です。 シンゴさんとは2003年にハワイでお会いしたのを切っ掛けに色々とコラボなどをさせてもらっています。日本語ラップとアメリカを舞台とするJapaneseラッパーとしての可能性を自分に示してくれた、最も尊敬する先輩です。 Q : 11曲目にはStaplemouth, Livestock, Noah23という、海外のラッパーが参加しています。相変わらずStaplemouthは凄いことになってますが、彼らと曲作りをして何か新たな発見などはありましたか? Staplemouthとのコラボは今回が初めてではないのですが、相変わらず彼のラップは超人的スキルで、まだまだ先は長いな?と感じました。彼のアルバムは未発表ながら完成しているのですが、リリースにつながっていないので、興味のあるレーベルさんはご連絡ください。w。大衆的な音楽ではありませんが、ヒップホップの進化上眠らせてはいけない大作です。 Livestockはリリックが本当に優れていて、スマートな遊び心とポエトリーと精神世界のブレンドが面白くも崇高で聞いていて勉強になります。笑いながらぶっ飛ばされる感じです。Noah23はそのバラエティーに富んだデリバリーが好きで何年も前からかなり聞き込んでいるアーチストなのですが、今回は気づいたというよりも、まさしくマスターオブセレモニーの彼とコラボで来た事を嬉しく、誇りに思います。 Q : Meisoさんにとって、アーティストとしての最終目標とは何ですか? 日本でアルバムを出す事を目標としていたので、新しい目標を現在模索中ですが、今自分の中でトピックとなっている事の一つは、”ラップ/ヒップホップというジャンルが苦手”と思っている人たちにどうしたら手が届くか、という事です。ヒップホップはリスナーもプレイヤーも高齢化してきています(若い人も当然多いですが)、リリック内容やビートの音色など、ヒップホップは前進しなければ行けないと思うのですが、ポップになるのではなくフォークやジャズのように普遍的な音楽として、若者から中高年や他ジャンルのリスナーにまで届く方法を開拓する前進も考えられると思います。宮崎駿監督の作品のように自分のジャンルとスタイルにこだわりながら、ジャンルと年齢を超えて人に届く作品を作りたいです。 Q : 今後のライブや活動予定を教えてもらえますか? 1月13日にオーストラリアでCurse Ov Dialectの一員として活動していた日本人MC、Kaigenとのコラボアルバム『温故知針』をKaigen21meiso名義で発売します。プロデューサー/リミキサーにOmid、K-the-i!?、Sole (of anticon)、Michita、Nijel Mongrel、Mihara、Curse Ov Dialectなどを迎え、参加MCにCeschi Ramosなど国際アンダーグラウンドな内容になっています。 また、3月頃にメリージョイレコードのアーチスト達とツアーする予定です。 Q : 最後にリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。 最後まで読んでくれてありがとうございます。 日付 : 2009年11月3O日 質問 : 西喜 (wenod records) 回答 : Meiso |
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