
2009年9月2日 (水)に待望のフル・アルバム "ヴァルハラ" をリリースする3人組 エイス・ワンダーに話を聞きました。3人揃ってのインタビューなので、かなりボリューム感のある濃い内容になっています。新作アルバムもかなり作り込まれた作品なので、このインタビューと合わせてじっくりと聴き込むと、彼ら独特の世界観が見えてきます。じっくりとどうぞ。 We nod (以下、W) : エイス・ワンダー、インタビュー初登場ということで、エイスを初めて知るという人の為にも1から質問します。まずは各自、自己紹介を御願いします。 Masashi (以下、M) : Masashiです。MCとビート全般を作っております。 KSK (以下、K) : どーも、MCのKSKです。ラップを楽器としてやっている感じです。 Fake? (以下、F) : ラップ担当のFake?です。 W : 3人が出会ったいきさつは?結成の経緯は? M : 1999年に、後にエイス・ワンダーに、フリースタイルを嫌というほど教えてくれたJayって奴と俺は遊んでて、Fake?とKSKは当時2人で "ケーダータ" っていうグループをやってた。だから2人と2人って感じで遊んでた。そのJayって奴はネイビー (米海軍) の奴だったから、俺はやつと英語でしゃべってたんだよね。渋谷のクラブ・エイジアのトイレだかで、KSKが俺に "ヨー、メーン"みたいな感じで話してきたんだよ、俺のこと日本語出来ないアジア人かと思ってたらしくて。 K : だって、日本語喋ってなかったんだもん。 M : で、その時はずっと英語で喋ってて、なんか面白い奴だなーと思った。その後に合った時に、俺が日本語喋ってて、なんだ日本語出来んのかよ、ふざけんなよ、じゃあメルアド交換しようぜ、ってなった・笑。そして、あともう一人のアダムっていう奴もいて、5人でライブやってたりしたんだよね。そのJayとアダムはCDのインナーに写真も載ってるんだけど。 W : え、最初エイスに外国人もいたの? F : いたいた。 W : まじで?初めて知ったよ。 M : その外国人2人はラブラッツっていうグループをやってたのよ。当時の5人の曲のデモも何曲かあるよ。そのアダムは今カナダのMTVでホストやってる。Jayは消息不明・笑。 W : じゃあ各自どんな音楽を聞いてきた?影響を受けてきた? F : 俺は高校時代のレニー・クラビッツはやっぱり凄かったな?。(ビートルズのカバーを聴いて) それでビートルズとかも凄えなーとかなったし。それまではビートルズそんなに好きじゃなかったんだけど、そのせいでファーストから全部聴きまくって、そこからカーペンターズにいったりもした・笑 M : 意外だね。 F : あとはビルボードのトップ40もよく聴いてて、そこで2パックとか聴いてたんだよね。 W : なるほど、じゃあKSKは? K : Xだね。中学3年間は取り憑かれたね。そこにメタリカが入ってきて、でパンテラが入ってきて、その3本柱で高校時代が終わったっていう。グリーン・デイとかみんな聴いてたけど、1曲聴いてダメだった。彼女とセックスする時もひたすらパンテラだったもんね。 M : セックスとかするなよ・笑。 K : そりゃするよ、高校生だもん・笑。 M : 俺しなかったなー。 W : セックスしながらX聴いて欲しかったなー。 F : お、今の韻固かったなあ・笑。 W : じゃあMasashiは? M : 小学校はセガのゲーム・ミュージックだよね、なんといっても。スペースハリアー、アフターバーナーでしょ。で、高学年でTMネットワークで中学入って筋肉少女帯。中学は筋肉少女帯だね、ほとんど。あとBUCK-TICKもね。でケイスケと同じくXからメタリカとかメタル中心になってきたところで中学の終わりでパブリック・エナミーの洗礼を受ける。 W : じゃあ最初のヒップホップはPEだったの? M : そうだね、パブリック・エナミーとアイス・キューブ、パリスあたりだよね。と、MCハマー 笑。 ■ 最新アルバム "ヴァルハラ" について ■ W : それでは最新作ヴァルハラについてなんだけど、アルバムタイトルの由来は? M : ヴァルハラっていうのは、北欧神話に出てくる言葉なんだけど、勇敢に戦った戦士だけが辿り着ける場所なんだよね。だからヘラヘラ戦った奴は行けないの。オーディンって神がいる場所なんだけど。 W : それは北欧メタルの影響もあるの? M : あるっちゃあるね、イングヴェイ (・マルムスティーン) もヴァルハラって曲やってるよね。最近のアルバムで。RPGとかでも良く出てくるワードだね。 W : アルバムのテーマやコンセプトは?一番伝えたいことは? M : CD2枚組なんだけど、年代順としてディスク1は昔の曲で、ディスク2に新しい曲が入ってる。(ディスク1の収録曲は) 当時の病んでて、何も見えない中で、変なものに取り憑かれてやってたような時代の曲で、うちらの暗黒面が出てるかな。イメージとしては、沈み込んでた時代から、この5年の中でみんなそれぞれ色んな事があって、考え方も変わってきたりとか、人間的に成長したり、取り憑かれたものから少しづつ外に向かって開けていって... K : ずっと外に開けていこうとはしてたんだよね。 M : そう、開こうとして格闘している感じがディスク1だね。で少しだけ開けて、色々と分かってきたこともあるというディスク2。でも、変わらないところは変わらないし、ハッピーエンドとかそんな単純なもんじゃなくて。最終的には、その自己闘争は一生終わらない訳だし、勝ち負けじゃないけど、うちらがこの5年間やってきたものの記録だね。(曲順が) 時系列となっているアルバム。(うたた寝気味のFake?に) Fake?の意見はどう・笑? F : うーん、何かな。聴く側はジャンルを決めがちなんだけど、3回、4回と聴いていくうちに、ミクスチャーだとかヒップホップだとかいうジャンル分けってのは、聴けば聴くほど無くなっていくアルバムだと思う。ジャンルにとらわれずに書いていったかな。 W : そういうのを意識して書いていったってこと? M : そうだね。エイス・ワンダーはこうだっていうジャンルの縛りは、作り始めた頃はあったんだけど、どんどん時間が経てば経つほど、自分達が受けた影響とかどれだけ出しても大丈夫だっていうことになった。好きな音楽とか (の要素を) 全部出して、初期のコリ固まった感じからは解放された感じだね。かっこよければ何でも良いじゃんっていう。KSKはどう? K : 俺の場合は、(MasashiとFake?の) 2人が先行していて、それに付いていくのがやっと、っていうのは当初と変わらないんだけど、それでいて2人がそこで待っていてくれるとか、煽って "来いよ" って言ってくれたりした時にそこに行けた、っていうようなアルバムかな。 M : なんか、これからも長くやって行きたいって気になること言うよな?・笑。もっと頑張りたくなりますな! W : じゃあその2人との差は縮まったと思う? K : いやーそれは絶対無いね。まだだね。でもそれがあるからまだやりたいと思う。"ケルベロスからの手紙" の1ラインにもあるように、"引き分けのための引き金"っていうのが出てきたアルバムだね。負けたくはない。勝ちたいけど勝ちたくはない。って感じ。 M : あーなんか色々思い出してきたよ、ヴァルハラについて・笑。結局3人の話でしかないんだよね。外に向けて、とか自分がなんとか、って言ってるけど、3人の話でしかない。自分がエイス・ワンダーを続けている理由はこの3人だからだし、この2人(が相方)じゃなかったら、とっくにやめてる。だからその人間関係で凄く悩んで出来た曲もあるし、ヴァルハラは本当にエイス・ワンダーのことしか実は言ってないかもしれないね。でもそれでいいと思う。 W : なるほどね。さっきのFake?の話に出てきたんだけど、エイスの音楽はジャンルレスって形容されてるけど、本人達はどう思うの? F : 例えばハードコア聴いてる奴が日本語ラップ聴いて "お、これかっこいいな" とか、俺もパンテラずっと聴いてきて、日本語ラップ聴いた時に "こいつらかっこいいな" って感動したのを覚えてるし、他ジャンルが入ってきたときにもすんなり聴けるというか、凝り固まった頭を取り除いて聴けるって感じかな。 M : まあ(ジャンルレスって)言われることに関しては光栄なことだよね。 F : ミクスチャーって言われると、"んー" ってなるけど。・笑。 ■ 曲作りについて ■ W : 曲作りはどうやって進めていくの? M : まずビートを作って、それをみんなに渡して、トピックを決めて、リリックを書いて、構成を考えて、という流れ。でも普通はそのビートの上に乗せて、録音して終わりだけど、その曲が出来た後にまたビートを差し替えたくなり、何バージョンも何回も差し替えちゃったよね。だから3回も4回もやったのもあるし。リリックを書くプロセスに関しては、俺は自分でビートも作ってるから、そのビートに合わせてイメージしながら書くのは自然だけど、2人はどうなのかな? K : Masashiからトラックが来たら聴いて、本当に一発でリリックを書ける時ってのは、まず泣くね。そのトラックで・笑。 M : まじで?泣くの? 笑 今回で言うと、そのスラっと書けたのってどれ? K : "St.R.I.P" とかだね。そのまま瞬発力で書けた曲だね。瞬発力で書けた曲と、何回も聴き直してやっていくなかで、出来上がっていく曲がある。でも書けたと思ってもダメで、それを2人が鋭く見抜いて、そこでまた書き直すというのもあった。 M : "ケルベロスからの手紙" とかそうだったね。 F : あー、ケルベロスは結構やったね・笑。リリックも書き終わってて、ミックスも終わってたんじゃない? M : そう、最後のプレスに出す前の段階で、Fake?から "やっぱりこのリリックまだ100%じゃないだろ" って指摘があったんだよね。 K : そこを見抜かれるってのは強みでもあるとは思うんだけどね。 M : 100%じゃないだろって言われても、自分で100%だって言えれば、そのままプレスに出すところだったんだけど、じゃあやっぱやるわってなったんだよね。 K : こっちにも断る理由が無かったから。やるしかないなって。 W : じゃあ、普段からお互いにリリックをチェックしあうの? M&F : まあ、しまくるね・笑。 M : 特に初期は、"これどういう意味なの"ってのが常にお互いにあった。 W : でもさ、リリックって書いた人それぞれの世界観であって、他の人がどうのこうの言ったところで、って気はしない? M : それがエイス・ワンダーの変なところなんだよね。それぞれ自分が言ってることだけど、3人が言ってる言葉でもあるから、っていう気持ち悪い一体感があるよね・笑。それが原因で、これ以上続けられるか分からないって経験を多分3人ともしてるし、今は大丈夫だけど、そんなの無理だーってなってしまった可能性もある。 W : 全曲プロデュースはMasashiが手掛けてるの? M : そうだね、ビートの作り方はごく普通だと思うけど、エイス・ワンダーの場合は、なんていうんだろう、神が降りてくる、じゃないけど、"来たーーー"ってなんないとダメなんだよね。さっきのKSKのリリックの話と一緒で、いきなり1時間で10分のトラックの構成全てが完成したりとか、奇跡的にサンプルとサンプルが噛み合ったりとか、(その瞬間が) 来るまでやりなおしちゃうかな。何度もやり直したり、作り込んで良い曲だなーと思ってはいるけど、その"来たーーー"が来ないと納得がいかない。その"来たーーー"が来るまで何バージョンも作り直しちゃうのは、納得がいくかどうかということ。 W : その"来た"時は最高に気持ち良いわけだね。 M : 来た時はイクね。 W : カッチカチだね。 M : カッチカチだね。1人で夜中にPCの前で"来たーーー"って・笑。 F : 笑・ジェイ・ディラとかマドリブとかもそんな感じだと思うよね。ゆるく作ってる感じだけど、一人で小さいガッツポーズしてると思うんだよね。 M : "来た"か"来てない"かが分かりやすいというか、"来て"なくても作り込んでいけばカッコいいのは出来ると思うんだけど、"来た" になってないとエイス・ワンダーとしてはリリースできないっていう。 W : ってことは今回のアルバムに入ってるビートは全部 "来た" 訳だね? M : そうだね、"来た" 曲だけだよね。悔いはないね。やり直すのも、もう無理 (一同なぜか苦笑)。 W : 今はMasashiだけだけど、他の2人もプロデュースはしないの? F : (しばしの間の後) しないねー・笑。滅茶滅茶しないね。だって俺、MPCの電源入れてすぐに落とすもんね・笑。 M : 一応入れんのかよ・笑 K : 俺は作り方も分からないし、ギターで作ってもフォークソングになっちゃうし・笑。 ■ リリックについて ■ W : リリックを書く際のアイデアはどうやって出て来るのかな? F : これは俺個人の話だけど、アルバムを作る過程において、自信が付いてきたかな。前は正直(自信は)無かったんだけど、書き直しをしないように、前もって完璧に仕上げることが出来るようになってきたかも。自分の中の弱い部分を潰して、ここがダメとか、ここが良くないとかを先回りして、書き直しをしないように仕上げることが出来てきた。そういうのはアルバムを作ってる途中に分かってきたんだけど。 M : そうだね、Fake?は書き直さなくなった。元々リリックはみんな書き直すんだけどね。3人全員分のリリックが上がってきた時に、自分のリリックが100%でないことに気付いたりとか、足りない部分があったり、つっこまれたりすることによって、(自分でも)そのことに気付いて書き直したりするんだけど、でもそれって最初から意識が完璧であれば、誰にもつっこまれない物って出来る訳じゃん。それがFake?の場合は、今回の後半は出来てた。 F : そうだね、やっていくうちに覚えたね。色んな人に会ったりしたし、なんだろう、特になにがあった訳でもないんだけど。 W : KSKは? K : アルバムに関しては、3人で書くときは持ち寄ったトピックに沿って。持ち寄って、その場でパンって決まるっていうか、一緒のタイミングでそうだよねってなる場合が多かった。求めているものが、その時は一緒だったんだろうね。それを決めた後は、思いのままに書くっていうのが一つと、あとは2人のことを考えながら書くっていうのが第2段階であって、最終的にその2人のことで書いたことを、また自分の中で消化して排泄する、というか1周させる。そうやって書き上げたのが今回のアルバムの曲かな。 W : じゃあ本当にKSKにとって他の2人の存在は大きいんだね。 K : でかい、本当にでかい。エイス・ワンダーに関しては他の2人の存在はでかい。 F : かなりでかいよね。 W : 今までのを聞いていると、このアルバムは聴き手を意識した内容ではないんだね・笑。 K : 申し訳ないけど、俺は全然考えなかった・笑。 M : 本当に閉じちゃってるという見方をされてもおかしくないね。ただライブなんかで実際に面と向かって話をして仲良くなるリスナーの人たちもいて、そいう人たちの存在は個人的にはでかいけどね。"ケルベロスからの手紙" はそういうリスナーに向けて言ってはいるんだけど。実際(他の)2人が良いと思わないものは書けないし、出せない。 W : それは他のメンバーもみんなそうなの? 一同 : うん、そうだね。 M : 俺は書き直し名人だからね。 F : 俺は書き直ししたくない名人だね・笑 ■ アルバムの内容について ■ W : このアルバムは"紺碧の門"に始まり、"真紅の門"で終わってるけど、これは何を意味しているの? M : これは、このアルバムを作り始めた時に、見えていた理想のヴァルハラの入り口の門の色が紺碧で、作り終わったときに見えたのは真紅だったということだね。それぞれの色がイメージするものはアルバムを通して聴いてくれれば感じてもらえると思う。 W : ディスク2に "マワル" という言葉の曲が続いているけど? K : このマワルは1曲1曲がそれぞれ違うんだけど、結局同じことを言ってるというか、それすらもマワルなんだけど。例えば、縦回転で回っているものと、横回転で回ってるもの、斜め回転で回ってるものがあって、それらが一つの形を成しているという感じ、俺の中のイメージでは。立体的というか。普通回るっていうと平面的で、1ヴァース目をMasashi、2ヴァース目を俺、3ヴァース目をFake?って同じ1曲の中でやると、(その1つの曲自体が)平面的になっちゃうんだけど、同じタイトルの曲を(別々の)3曲に分けてやると立体的になるという、3次元を表現した感じ。 M : 全部色んなことが元々連鎖しているっていう。うちらが曲を作って、それを誰かが聴いて、その人はうちらの曲を聴いたことによって何かを感じ取ってくれた。で、その子とうちらが話をして、感想なりをくれるわけでしょ、そうなるとそれがまたうちらに影響を及ぼしてくるわけ。(結果的に) こっちだけが発信してるわけでは無くなってきて、全部が繋がっていて、言っていることも結局は1つで、だから曲の順番とかも実は関係ないし、どこから聴いても良いという。あとは、昔は仲良かったけど最近会ってない人とか、亡くなった人とかも含めて、その生き方や、記憶や、温もりなんかも結局はマワルんだよねということ。一人の人間の人生は平面的に始まって終わるものではなく、驚くほど色々なところでマワってる。誰かが発信して、誰かが受け取るということじゃなくて、全部が繋がっているということ。結構このアルバムの核になる部分だと思うんだよね。 F : なんだろうね、始まりでもあって、終わりでもあるんだけど、その終わりを決めるのはその人次第。その人がそこで終えたら終わりだし、終わらなかったら終わりじゃない。まあ、答えは無いよね。 K : 入り口と出口がくっついてる感じ。メビウスの輪みたいに。 M : 答えが無いってのもマワルだしね。 F : そうそう。 W : Fake?とKSKはちょくちょく海外旅行に行ってたり、まさしも留学経験があるでしょ、世界を見るということはエイスの音楽にどう影響してる? F : 主にリリックだけど、正直言っちゃうと性格とかも変わってくるかもね。旅に出たことのある人は分かると思うけど、日本の価値を遠目から見ることも出来るし、日本に帰ってきてから "ああ、日本人で良かった" って思えたり、2つの部分を手に入れられることが、外に出る楽しみみたいなところはあるかな。それがリリックに自然と反映されるのは当たり前だよね。旅から帰ってきた時は、良い意味で危険。一ヶ月アメリカに旅行した時も、帰って来た時は、良い意味でおかしかったもんね。行く前と全然違った。 M : いわば諸刃の剣で、世界を知らなければ、今いる場所にしか自分の価値観はない訳じゃん。でも外を知っちゃうことによって、外を知りながらも、今自分のいる現実の中で生きなきゃいけないから、得るものもあるけど、その広さを知ってるのに、狭い中で生きなくちゃいけないっていう、リスクというか締め付けられているっていう感覚を凄く感じてる。いつ、どこで、何をしてても、彼の地があるのだという感覚が付きまとう。常に彼岸の地を夢想してしまう。でも、その閉塞感はリリックを書く際には必ずしも悪いもんじゃないんだけどね。 K : 海外に関しては俺は一人旅をしたことなくて、誰かパートナーと行く旅って、日本の日常をそのまま持っていくって感覚もある訳で、それがあることによって、外から日本を見えるってことが強かった。それと向こうの中に入って、中から日本を発信しようとも思えた。世界を近く感じれることによって、近い人にもっと優しくしようって思えたり、なんでこの人はこういうことしちゃうんだろうっていう疑問も増えるし、そういうのが多くなったね。目につくようになった。良い意味でバランスが崩れちゃうって感じ。その壊れ方がリリックに影響するってのが、一番面白いことだと思うんだけど。 W : かつて "戦争を知らない第三者の日記" など、社会性のあるトピックや世界情勢について歌ってたけど、今作ではあまりそういう部分は無いよね。 M : そうだね。 K : "戦争を知らない第三者の日記" の頃は、日本にしかいなくて、こっちからの一方的な意見だったけど、今回のアルバムに至るまでに色々経験して、実際に戦場に置かれたらどうなるか分からないけど、どの場合でも生きたいってのは同じだよね。日本にいて幸せなこともいっぱいあるけど、死にたいと思ってしまう人もいっぱいいる訳で、でもその中で生きようという気持ちは一緒、そこを見れたってことはあるかな。生きようって力を見ることが出来たっていう。"戦争を知らない第三者の日記" の時に投げたボールが跳ね返ってきた感じ。 M : 相手の顔が見えてきたというか。昔は外に向けて言っていたようで、より自分のことしか見ていなかったけど、今は自分に向けて言ったことで、周りのことが見えてきたって部分があるよね。 W : 今作を聴いて思ったのは、聴き手がイメージしやすい言葉や言い回しを使って表現しているなということで、そこがウケる要素かなと思ったのね。特に "ケルベロスからの手紙" に顕著で。これは意図してやっていることなのか、それとも自然とそうなったの? M : 特に昔は難しい事言ってれば良いみたいなところがあって、俺は今でもそこと戦ってる。個人的に文学や現代思想なんかが大好きだし、抽象的な言い回しや難解な語彙って、その言葉でしか表せない世界があるから、それらを組み合わせることでしか見えてこない景色もあったんだけど、聴き手からの反応があるにつれて、結局分かりやすくないと伝わらないなということも理解するようになった。分かりやすいものにして行きたいなというのは、作ってる中で出てきた時期もあったよね。今は逆にそれだけじゃないけどね。 W : 今は違うんだ? M : 今は逆に誰も分からなくても、ドープなら良いっていうとこも大事だと思ってる。誰も分からなくても、カッコいいものはクソカッコいいと思うんだよね。一人でも死ぬ程カッコいいと、今まで聴いたことないくらいカッコいいっていう人がいれば、その曲はクソカッコいいんだよね。Fake?はところどころ客演とかでもそういうことやってるしね。それは凄いと思うね。 K : まあ "ケルベロスからの手紙" については手紙だから受け手のことを考えて書いたもんね。人が聴くということを本当に意識した曲だね。 ■ 今後の予定について ■ W : それでは、今後のライブにおける意気込みは? K : うちらは音源の中でもライブを表現出来てるとは思うんだけど、それにも増して、その生(せい)をさらに生(なま)で見に来てほしい。絶対に何かは起きるから。それだけは保証できるから、そこは楽しみにしててもらって良いですよ。エイス・ワンダーはライブですよ。 M : ライブではまた楽器も弾くし、俺なんてギター弾いてる時は超幸せだからね。 W : 幸せそうだもんね。 M : 笑・ライブは基本的にchaosと4人でやります。ライブで色んな人に会えるからやってるような部分もあるよね。 W : そのchaosさんがアルバムのミックスを担当したわけだけど、せっかく今日は同席しているので、意見を聞いてみたいのですが、chaosさんから見たエイス・ワンダーの3人とは? chaos (以下、C) : うちらが出会ったのっていつだっけ? 6年くらい前だっけ? このアルバムのミックスを始めたのって3年くらい前だよね。常に自分のアルバムを出す時なんかも、裏ではエイスの仕事をしていたっていうね・笑。日々、成長を共にさせてもらったっていう意味で、良かったと思う。3年間で音が色々変わってるじゃん、それを一緒に経験出来たってのは光栄だね。 俺がミックスで出来ることって、所詮、補正という感じがあって、よくエンジニアが、ミックスで魂を吹き込むんだというようなことを言っているけれど、そんなことは俺自身はとても出来ないと思ってて、そういう魂を吹き込むようなことはやりたいとは思うんだけど、魂はその曲のもともとの原型にあるんだよね。それをどう上手く引き出すか、っていうそこのサポートを、今回3年間かけて出来たかな、って気はする。 W : なるほど、逆にエイス・ワンダーから見たchaos君はどんな存在? K : 俺にとっては貴重なリアクション、良いよって言ってくれた第一声かな。 M : 愛すべきマイメンだよね、やっぱり。家族だよね。 C : 家族になっちゃったよね・笑。毎週土日に(俺の)家にいるからさ。 M : 例えば、曲がもうミックスまで上がって完成してるのに、あるギターの3秒くらいのフレーズを0.1db上げたいみたいなとこが多々あって、普通の人にとってはそんな細かいことはどうでもいいことなんだろうけど、それを全て理解してくれる人って俺にとっては多分この世の中にchaos 1人しかいない。そういう人間と一緒にミックスができるというのは、最高に恵まれた仲間が見つかったなって思う。最高のパートナーですよ。 W : 素晴らしい。泣かないでよ・笑。それじゃあ最後にファンにメッセージをどうぞ。 F : なんだろうなー。(1分ほど間が空く・一同笑いを噛み殺す) K : えー、じゃあ、聴いて悪くはならないから、絶対に聴いて下さい。きっと体にも良いと思います。 F : なんだろうなー。ただ聴くだけよりも、口ずさんでほしいかな。何でもそうだけど、100mも走ってみないと分かんないし、聴いて口ずさんでまた違う楽しみもあるから、コピーして聴くよりかは、本物を手にして聴いてほしい。 M : 悩んで書いてる曲が圧倒的に多いし、暗いでしょ、正直言って。だけど、それは(自分達の)正直なものだから、生きて行く中で同じような思いをしてる人って絶対いるはずで、どこかに引っかかって共感してくれる部分があると思う。(この場で)言葉で言えることはあまりないけど、作品がもっと語ってくれると思う。リリックと同じように、ビートも感情全開で作ったものばかりだから、是非聴いてみて下さい。アルバムリリース後にはリミックス曲のアナログもリリース予定なのでそちらも期待していて下さい!
エイス・ワンダーのジャケット・アートワークやTシャツのデザインなどを手掛けているアーティスト、Imaoneにも話を聞きました。 W : エイスのアートワークを手掛けるようになったきっかけは? Imaone (以下、I) : Masashiさんの別名義のNejel Mongrelの12"リリースの際に、(トラックメイカーの) Authentic経由で話が来たんですよ。でもその前に渋谷のThe Roomで、友達が主催してたイベントに、Authentic経由でエイス・ワンダーを呼んだりしたんです。 W : いつも描く時って、最初に音源を渡されて、その音源からイメージが湧いてくるの? I : もちろんそうですね。しかも、完成してないデモ版を聴かされるんですよ。ヴァルハラも最初3、4曲くらいを最初に聴いて、徐々に始めていって、数ヶ月ごとに(新たな)デモをもらって、少しづつ完成させていく感じです。1年以上いじってて、完成したのは本当に最近ですね。止まっては手を入れて、ってのを繰り返す感じで。 W : Imaoneからみたエイス・ワンダーとは? I : スーパーめんどくさいですね・笑。遅え!・笑。 W : 笑・確かに遅いね、この3人はね。でもその待たされた分、凄いものが完成するんだけどね。 I : そうですけどね。 W : 仕事を一緒にするってなると、やりづらい部分もあるの? I : 仕事のノリでやってくのはそもそも間違いみたいなとこはあります。 W : Imaoneから3人に、もっとこうしたほうがいいんじゃないの、とか言うことはないの? I : 直接 "もっと早くして下さい" なんてのは絶対言わないですね。そんなの余計な御世話だし、彼らのスタンスなんで、そこを崩せないのが、この世界みたいなもんなんで。 W : 今回のジャケットは何をイメージしたの? I : やっぱりヴァルハラですね。音を聴いて、そのコンセプトをMasashiさんからザーっと聞いて。デモを最初に聴いた時に、ヤバいってなって、思わず電話しちゃったんですよ。その当時、アートワークが全然追いついてなくて。それくらいかっこ良かったですね。今回のは、分かりやすく言っちゃうと、下の3人の顔の部分を描いてるのがShoheiっていうイラストレーターで、ケルベロスのジャケットで犬の部分を描いてもらったのも彼です。そこだけ彼に頼んで、あとの上の部分は僕が描きました。Shoheiはヤバいです。 W : なるほど、じゃあ実質2人で描いてるわけだね。 I : そうですね、(アルバムのテーマなど) Masashiさんから聞いたものを、Shohei に伝える際に、こっちでディレクションは終わった時点で彼に頼むから、こういう感じで描いてくれ、こういうタッチで描いてくれっていうのを彼に振っていく感じです。だけど音源は渡すっていう、でテンションを上げてもらうっていう。上がらない場合もあるけど、今回は上がってくれたみたいです。 W : Shoheiとは長いの? I : 長いですね、小学校からだから。 W : これから展示会の予定とかないの? I : 展示会はまだ決まってないんですけど、色んな動きはあります。自分のサイト (www.imaone.com) であげていければいいかなと思ってます。 Imaone website : www.imaone.com Shohei website : www.hakuchi.jp 取材 : 2009年8月22日 (閉店後の恵比寿wenodにて) 質問 : 西喜 純一 (We nod records) 回答 : 8th Wonder (Masashi / KSK / Fake?)、Chaos、Imaone |
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