Wenod (以下:W) : アルバム発売おめでとうございます。まずはQNさんの自己紹介からお願いします。
QN (以下:Q) : ありがとうございます。SIMI LABの若頭QNです (笑)。自己紹介が苦手なので、早く音源を聞いて貰えたらと思います。まあ。QNと言うよりSIMI LABですが、神奈川県央を中心に多分13、4人居ます。MC、DJ、デザイナー、ビートメイカー、ダンサー、作家、もう何でもありになってますが (笑)。ともかく、ずっとマイノリティだった奴の集合体なので、個性が強いし、ほんと色んな奴が居ます。そんな人達のまとめ役を一応やってるって感じっす。
W : QNさんのヒップホップとの出会いについて教えていただけますか。
Q : 中学生の頃から姉ちゃんの影響で嫌でもHIPHOPを聞かされてたってのはデカイですね。一応EMINEMとか50Centも聞いてましたが、みんな聞いてるんじゃつまんねえなあと思ってた頃に姉ちゃんのおすすめでJURASSIC 5を聞いて、感覚的に「お!これだ!」ってなって。ともかく常にみんなと同じってのが嫌いな奴だったんで、スティービーワンダーとかマーヴィンゲイも聞いてましたね。ぶっちゃけその時はその音楽そのものがどうのこうのよりも、「俺は中坊にしてこんなん聞いてる!俺ってやばい奴だろ!」みたいなファッション的に聞いてました (笑)。
それから中学生の頃バイトしてて、貯まった金でタンテ一とミキサーを一台づつ買いました。「タンテ一台買えね~じゃね~か~」とか思ってたら、車に跳ねられて (笑)。しかも生存確率50%の大事故っす。その見舞い金貯めて、退院後そのまま病院から淵野辺のDISK UNIONに行ってでタンテをもう一台ゲットしました (笑)。そこからですね。
W : 本作 "THE SHELL" は、FILE RECORDSからのリリースとなりましたが、リリース経緯を聞かせて下さい。
Q : 実際は今年の頭に自主制作でリリースするつもりでいたんですよ。それでWelcome 2 My LabのPVをUPした際に制作者のIZMIZM君の所にFILEの増田さんから連絡が来て、僕のアルバムを聞かせて欲しいとの事でした。その後、直接会ってアルバムを聞いてもらいました。それで、FILEで出したいというお話しを頂いてリリースに至りました。FILE増田さんとの出会いはほんと大きいです。
W : 率直に、アルバムが録り終えた感想を教えて下さい。
Q : 今聞けばもちろん、「今の俺ならもっと出来たなあ」なんて思いますが、その時の自分を100%出し切ったと思います。正直、今THE SHELLを聞くと俺ってラップ下手だなあって思ってしまいますけど (笑)。それでも、自分の中でもお気に入りのアルバムですし、愛着は凄いあります (笑)。それと、レコーディング最中からもう次の動きの事を考えてたんで、ささっと終わらして次に行こうって思ってました。
W : アルバムについて。イントロ部分で "あっ。ヒップホップだ" と冗談っぽい口調で幕をあけたのが印象的でした。 このメッセージに何かQNさんのヒップホップに対しての気持ちの真髄が隠されているのかと感じたのですが。
Q : なんか「HIP HOPはこうだ!」とか偏見とか凝り固まった考えを持ってる同業者に向けたメッセージですね。HIP HOPはそもそも自由な音楽だと僕は思ってますので。"みんなもっと楽しめば?" みたいな、"肩の力抜いてさ" って感じっす (笑)。
W : 4曲目 "Fam" について。QNさんのリリックで、子供 (実兄弟?) がラップしていますね。
Q : 完全にHi-TekのアルバムとかMasta Killerのアルバムにスキットで入ってるKIDS RAPの影響です (笑)。それで弟に「ちょっとラップしてくんね?」って頼んだら、思った以上に弟が乗り気になったんですよ。「やったろか~」みたいな (笑)。リリックは実際彼と一緒に考えてEarth No MadのSTUDIOでレコーディングしました。
W : 6曲目 "The Stupid" について。Dyyp Rideさんのリリック/フローは強烈ですね。QNさんは、"楽しみたいだけ"、"俺でいたいだけ"、などのメッセージを乗せていますね。リード曲にもなっていますが、QNさんにとってこの曲はアルバムの中でも自分のスタイルが出た曲ですか?
Q : ほんとにDyypRIDEは強烈ですね (笑)。喰われました (笑)。アホには結構メッセージがいっぱいあります。一つはイントロに近いメッセージです。それと「アホになれ」って言うのは、ある意味自分に言い聞かせてる部分もあります。アホになりゃ楽しい事も増えるじゃないですか (笑)。人の目とか、何かに似せるより、ともかく俺らがアホになって楽しめるようになろうと。最後に、みなさん俺らの事をただのアホだと思ってくれて良いよ。でも、鋭い目はちゃんと持ってて、かっこいいなあと思って欲しかったて感じですね。
W : 7曲目 "知らない先輩" について。先輩を影で小馬鹿にしているとても攻撃的な内容でしたが、オーディエンスとしては凄く聞いていて面白かったです。自分が生活している中で年功序列はやはり疲れるものですか?(勿論、良い場合の年功序列もありますが、ここでは疲れる年功序列システムのことを言っています。僕は疲れきってますね)
Q : もう最悪なシステムですよね。自分の先輩がステージに上がってるから手を上げるとか最前列に行くとか。これは悪い意味でアホだなって思いますよ (笑)。同年代でも先輩にペコペコしてるのを目の当たりにする事がありますが、そんなスキルはいらないだろって (笑)。あとはちょっと地元で名前があるからって偉そうにしてる人は特に嫌いですね (笑)。地元で頑張ってください、僕たちお先に失礼しますって事は常に思ってました。
W : 12曲目 "The Shell" について。アルバムタイトルと同曲となった "The Shell" ですが、この言葉に隠されたメッセージとは何でしょうか。
Q : The Shellは"抜け殻"という意味で使ってます。SHIT的な。やりたい事もコロコロ変わるし、常に変化する事を求めているので、QNそのものと言うよりは、「その時」のQNの作品と言う意味です。本体はもう違う形になってるって事です。この曲のリリックは今の自分ではもう書けないと思います。当時の変化とか成長とか、葛藤とか考えを背伸びせず歌おうって思いで作りました。
W : アルバムを聞かせて頂いた時に、信頼出来る仲間達と楽しく作れた作品だということを凄く感じました。アルバム制作の中で、印象に残っている思い出などはありますか?
Q : 一曲一曲に結構思いで深いものがありますね~。このアルバムでは日常で起きた事をまんま曲に落としているので、一曲ごとに自分に起きた経験とか思い出が浮かびますよ。信頼という事では客演陣もプロデューサー陣も僕がほんとにカッコイイと思ってる人にお願いしました。楽しい事ばかりではなかったですが、良い作品を作るんだという意識は高かったです。
思い出と言えば、今年の年明け、ELMORE君の家でOMSB'EatsとかRATLAP君と呑んでたんですけど。そこで2010年は絶対に僕らの飛躍の年にしようと宣言してたので、一応は宣言通りになったかと思います。ELMORE君とRATLAP君のグループのFIND MARKETも今年中にアルバムを出すそうなので、楽しみです。ちょっとだけ聞きましたが相当やばかったすね。
W : アルバム "The Shell" ですが、どんな方に聞いて頂きたいですか?
Q : やっぱり、同年代に一番聞いて欲しいです。もういい加減、失恋ソングなんて聞き飽きた頃でしょ?みたいな (笑)。ラップのスキルがどうとか、打ち込みがどうっていう、同業者的な聞き方より。あまりHIP HOPを聞かない同年代とか、別フィールドのRockサイドの人達にも、率直な僕らの音楽とか、それこそバイブス的な物を感じてくれたらと思います。もちろん、HIP HOPのリスナーのみんなにも楽しんで聞いて貰えたらと思ってます。
W : QNさんとOMSB'Eatsさんが中心となっている "SIMI LAB" について聞かせて下さい。多国籍なアーティストが共生しているとプロフィールで書かれていましたが、どういった出会いから結成されたんですか?
Q : そうですね、OMSB'Eatsとの出会いはSD JUNKSTAのSAG DOWNで知り合ったのがきっかけですね。特に意気投合した訳でもなく、なんとなくOMSB'Eatsの家に遊び行ったりしてたらいつの間にかSIMI LABを作ろうという話しになって、なんか自然な流れでした。それが確か2008年で、MBっていうペルーのハーフのラッパーも居たりして、すでに多国籍な感じはありましたし。なにより相模原っていう場所と、OMSB'Eatsがでかいんじゃないかと思います。
相模原は何故かハーフが多いんですよね。キャンプがあるからってのもあると思いますが。それとハーフの人達の自然に出来たコミュニティがあることが大きいと思います。そこでどっとハーフが増えて、今では1/2がハーフですから (笑)。ともかく、みんなの学校の頃の話しを聞くと、僕も含めSIMI LABはクラスでもちょっと浮いてたキャラの集合体なんだと思います。マイノリティだった個々がSIMI LABという場に集って、なんかやばい事しようって。なんか独特な団結力もありますね。
W : QNさんにとってヒップホップの魅力/存在とはどういったものですか?
Q : 俺の親父が珍しく家に帰って来て、なに言い出すかと思ったら「クビになった」って言い出したんですよ。その時すごいショックだったんですけど。親父クビ、つまり金がなくなる、一軒家にも住めなくなる、団地暮らし、俺も金稼がなきゃいけなくなる、それって結構HIP HOPな生活だなとか思ったりして (笑)。これでリリックも言う事増えるなぁとか (笑)。ちょっと意味はき違えてるかもしれないけど、常にマイナスがプラスになる音楽ですよね。ちなみに親父はどうにかクビにならずすんだんですけどね (笑)。それに、どのジャンルよりも自由な音楽だと思いますね。スラングなんかもほんと面白いじゃないですか。「バイブス」とかよく使いますけど、ほんと都合の良い言葉ですよね (笑)。
W : QNさんの音楽活動の中で、一番影響を受けて来たアーティストがいましたら教えて下さい。
Q : ラップだと、実はSNOOP DOGGなんかの影響を受けてると思います。後はやっぱりWU-TANG周辺。とはいえ、あんまりアーティスト単位で影響を受けていないと思います。この曲のこのラッパーの2バース目がヤバいとか、入りがやばいとか、 4小節目だけやばいなとか、そういうのをかき集めてる感じですね。後は、やっぱりUSを意識してますね。だからと言って日本語にもいっぱいおもしろいところあるんですけどね。素直に自分がカッコイイなと思った事を試してみるって感じす。
W : QNさん含め "SIMI LAB" の活動は、まだまだ始まったばかりだとは思いますが、今後のビジョンなどは考えておりますか?
Q : そうですね、結構これは言ってきた事なんですが、良い意味での孤立をしたいですね。というか、結果的にそうなってしまうと思います。あんまりつるめない感じ。CD SHOPとかにも「SIMI LAB系」みたいなコーナーが出来ちゃうみたいな。これは理想ですが (笑)。SIMI LABの形態としては日本版LIVING LEGENDS (笑)。今後のリリースは、今年中にDyypRideとUsowaのEP、EARTH NO MADのコンピアルバム、来年春にSIMI LABの1stを出す計画でいます。それとDJ陣が結構たくさん居るので、フリーダウンロードとかMIXTAPEも考えてます。
W : 最期にオーディエンスにメッセージをお願い致します。
Q : そうですね...。まあ、SIMI LABの根本にはやっぱ楽しむ事が大前提なので、みなさんも楽しんで聞いて貰えたらと思います。ほんとにそれが一番だと思うんですよ。
日時 : 2010年7月27日(火曜日)
質問 : 神長 (wenod records)
回答 : QN from SIMI LAB
場所 : web メール
ARTIST : QN from SIMI LAB
TITLE : THE SHELL
FORMAT : CD
LABEL : FILE RECORDS
RELEASED : 2010
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